(追記メモ)うつ病という病名はおかしい、という考え方に触れ、うつ症状、という言葉にしました。
三連休と朝食とサッチモと
朝、早めに起きて、ご飯を珍しく5合炊いた
いつもは父の分を一合だけ炊いている
リビングではサッチモの”What a wonderful world”が流れていた
少し大きくなって落ち着きを見せ始めた甥っ子と
サラサラの髪をうんと伸ばしてペディキュアを塗るようになった姪っ子と
大人にも分かるような言葉を発するようになった小さな赤ちゃんと
ひさしぶりに家族が集った
私は炊飯器のスイッチを入れ
冷蔵庫にひとつだけ残っていたじゃがいもを剥き始めた
やがてサッチモのトランペットが
聖者の後進を奏で始めた
甥っ子姪っ子がだいすきなのと同じように
甥っ子たちの父親、つまりはわたしの弟が
とくにまだ彼のうんと小さかった頃には
とてもかわいかった
極端な偏食で
ろくにものを食べない弟を見るにつけ
いつ死んでしまうのかと
ひどく不安でもあった
いつからだろう
わたしたちは別々の星からきたのだと思うようになったのは
いつからだろう
わたしたちは今でも仲が悪いわけではないが
たぶん理解しあえない
根本的なちがいがあると
感じはじめたのは
とても静かに
穏やかに
だれにもわからないほど
ひそかに
蜻蛉の羽が
わずかに動くかどうかといった程度ではあるが
それでもわたしはひどく
打ちのめされることがあった
否定も批判も
するつもりはない
ただ
わたしとわたし以外の家族とは
決定的にちがうところがある
というだけである
それは、多くの人が経験し
あじわったことのある感情だが
自分のように考えるひとと
自分以外の家族のように考えるひととは
おそらく本当の意味で
心が通い合うことはないだろう
という
ただそのような
不毛な想いに
ときおり駆られるというだけだ
わたしたちはただ
家族というだけ
いつでも絆を感じ
分かり合えなければならないという法はない
いつか父が不在となれば
わたしと彼らとをつなぐ
細くてもろい糸でもあった父が
いつか居なくなれば
わたしたちはずっと
会わなくてもやっていける気がする
彼らがいつも見ているものが
わたしには巨大な砂丘にしかみえなかったとしても
だからなんだというのだろう
わたしはときどき
なんともいえない虚しさをおぼえる
彼らが好きだけれど
彼らの好きなものや見ているものが
わたしにはずっとわからなかった
というだけのことだ
そして彼らには
わたしのことが
わたしが楽しんでいるさまざまな不思議なものが
わからなかったというだけのことだ
せっかく綺麗に剥いたけど
ぼんやりと考えごとをしながら揚げた
じゃがいもの素揚げは
とても不味かったね
ごめんよ
(↑北あかりは美味しいですね。気合いの入ったじゃがいもPR文。また読みたいのでここにリンクを置いておきます)
そういえば
前日の夜にこんなことがあった
わたしはタンスの引き出しを開けたとたん
急にそこへ突っ伏して
泣いた
とつぜんその感情は
やってくるのだ
それまでなんでもなかったのに
タンスを開けることが
引き金になるなんて
だれに想像がつくだろう
そこにはきちんと畳んでない
着古した衣類と
わたしの快適な下着があるだけ
翌日は家族が集うから
泣き腫らした顔は避けたい
そう思うのに
涙を止めて
別の部屋へ洗濯物を片付けにいって
また涙が止まらない
嗚咽と
震えが止まらないので
かつて母が寝ていたベッドに座って
ひとしきり泣いた
肩を震わせながら
むせび泣くわたしを
母はなぐさめただろうか
わたしの前でしか泣けなかった
強くて繊細な母の目の前で
大人になったわたしは滅多に
泣くことはなかったが
なんでこうなったのか
だれにもわからない
私は私の道を
歩いてきただけ
My Wayみたいな
人生だった
これからもきっと
だからわたしは
すべての感情を
あじわい尽くす
これからもきっと
余談
My Wayはプレスリーが最近のお気に入りです。
夜中にプレスリーの死因を検索する秋の夜長です。
ちなみに。
プレスリーについては:
「ピーナッツバターとバナナとベーコンのサンドイッチ」が大好きで、毎日のように食べていた。今ではこのサンドイッチは「エルヴィスサンド」と呼ばれている。ただし、このサンドイッチは食べる前に多量のバターを溶かしたフライパンで揚げ焼きにしたもので・・・
wikipedia “エルヴィス・プレスリー”
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%BC
というエピソードがとても好きです。
Elvis sandwichでレシピを検索すると、とてもたくさんの映像が出てきます。
ドイツ語の勉強になるかもしれないので、こちらを貼っておきます。